私が自分の子供に伝えておきたい金融知識を何回かに分けて以下のような感じで書いていこうと思っています。
- お金の「基本」とマインドセット
- 経済の「仕組み」を知る
- 投資の「武器」を手に入れる
- 守りの知識と「自分」への投資
と言っても、私はお金の専門家でもないですし、特段お金について特段の知識がある、というわけではありません。
自分自身が実践したことやAIやネットの情報を駆使して調べたことを中心に書いていくつもりです。

親のアドバイスが子供の「限界」を決めていないか?
「とにかく勉強して、いい大学に入って、安定した企業に就職しなさい」
私たちが親として子供に贈るこのアドバイスは、昭和から平成初期にかけては間違いなく「正解」でした。
しかし、2020年代後半を生きる今の子供達にとって、この言葉は時に、彼らの将来の可能性を狭める「呪縛」になってしまうリスクをはらんでいます。
かつては「会社員(従業員)」という生き方を選べば、終身雇用と右肩上がりの給料、そして手厚い退職金と年金が約束されていました。
しかし、今の日本はどうでしょうか。安定した大企業に就職できる一握りの人はまだ良いでしょう。ただ、世の中、そんな人だけではありません。
大企業であっても倒産、リストラ、実質賃金の低下があり得ます。中小零細企業であれば、なおさらです。もはや「就職=安定」という図式は成立しません。
これからの時代を生き抜く子供達に必要なのは、特定の職業を目指す力ではなく、「お金がどこから、どのような仕組みで生まれるのか」という構造を理解する力です。
そのために今回は「ESBIクワドラント」を紹介します。
稼ぎ方の地図「ESBI」を親が正しく理解する

「ESBI」とは、世界的なベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者、ロバート・キヨサキ氏が提唱した、収入を得るための4つのクワドラント(領域)です。世の中のすべての働く人は、必ずこの4つのどこかに属しています。
E:Employee(従業員)
日本の労働者の約9割がここに含まれます。会社員、公務員、アルバイトなどです。「自分の時間」を会社に提供し、その対価として給料をもらいます。
- メリット: 毎月決まった給料が入る。社会保険が充実している。
- デメリット: 収入に上限がある。自分の時間をコントロールできない。
S:Self-employed(自営業者)
個人事業主、フリーランス、医師、弁護士などの専門職です。組織に縛られず、自分の「スキル」を直接お金に変えます。
- メリット: 頑張り次第で収入が増える。上司がいない。
- デメリット: 自分が動けなくなると収入がゼロになる。常に「自分が現場」にいる必要がある。
B:Business Owner(ビジネスオーナー)
会社を経営し、「仕組み」や「人」を動かして利益を生む人です。
- メリット: 自分が現場にいなくても収入が発生する。時間は自由。
- デメリット: 仕組みを作るまでが大変。責任が重い。
I:Investor(投資家)
株、不動産、債券などにお金を投じ、「お金」に働いてもらって利益を得る人です。
- メリット: 労働が不要。究極の自由。
- デメリット: 元本を失うリスクがある。元手となる資金が必要。
「左側」と「右側」を隔てる決定的な壁
このESBIの図には、縦に一本の大きな線があります。左側(E・S)と右側(B・I)では、収入の性質が根本的に異なります。
左側の住人の収入は、自分の肉体労働に基づいた「労働収入」です。たとえ年収2,000万円の弁護士(S)であっても、自分が仕事をしなければ1円も入りません。つまり、「お金はあるが、時間がない」という状態になりやすいのです。
一方、右側の住人の収入は、仕組みや資産から生まれる「権利収入(不労所得)」です。寝ている間も、遊んでいる間も、仕組みやお金が働き続けます。彼らは「お金も時間もある」という状態を目指しています。
子供達にまず教えるべきは、世の中には「自分の時間をお金に変える人」と「仕組みにお金を運ばせる人」の2種類がいるという事実です。
なぜ「右側の視点」が今の子供達に必須なのか?
「うちの子は平凡でいい。起業家や投資家なんて、ほんの一握りの才能がある人の話でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、ここに大きな勘違いがあります。
今の時代、「100% E(従業員)として生きること」は、実は非常にハイリスクな投資なのです。
例えば、AIの進化によって、これまで「安定」と言われていた事務職や専門職の仕事が代替される可能性があると言われています。また、インフレが進めば、定額の給料しかもらえないE(従業員)の立場はどんどん苦しくなります。
これからの子供達に必要なのは、B(ビジネスオーナー)やI(投資家)として独立することだけではありません。「E(従業員)として働きながら、同時にI(投資家)としての意識と資産を持つ」というハイブリッドな生き方です。
就職して給料をもらうE(従業員)。その給料の一部を、若いうちから世界中の企業の株に分散投資するI(投資家)。これだけで、「労働者」であると同時に、世界の経済成長の果実を受け取る「資本家(オーナー)」にもなれるのです。
家庭でどう教えるか? 親の「問いかけ」が子供を育てる
では、具体的に子供達にどう教育すればよいのでしょうか。専門用語を詰め込む必要はありません。日常の風景を「ESBI」で切り取って見せるだけで十分です。
例えば、家族でファミレスに行ったとき、こんな風に話してみてください。
- 「あそこで注文を取ってくれている人は、E(従業員)だね。でも、このお店のメニューを考えて、利益が出る仕組みを作った社長さんはB(ビジネスオーナー)だよね。」
- 「このファミレスの株を買って、配当金をもらっている人はI(投資家)だね。もし君が大人になったら、どの立場でこのお店に関わりたい?」
こうした会話を繰り返すことで、子供の脳内には「雇われる以外の選択肢」が蓄積されていきます。
また、「お小遣い」の定義を変えることも有効です。 「頑張って手伝いをしたご褒美(労働の対価=E)」として渡すだけでなく、「このお小遣いを使って、将来のためにどうやってお金に働いてもらうか?(投資=I)」を一緒に話し合う時間を設けてみましょう。
最後に
私たちが子供達に遺してあげられるのは、現金や不動産だけではありません。むしろ、それらは知識がなければ、あっという間に食いつぶしてしまいます。
親が遺せる最高の相続。それは、「どのクワドラント(領域)にいても、自分でお金を稼ぎ、管理できる知恵」です。
お子さんが将来、会社という組織に属したとしても、「自分には他にも稼ぎ方がある」「お金に働いてもらう仕組みを知っている」という自信があれば、ブラックな環境に耐え続ける必要も、将来への不安に怯える必要もなくなります。
お金の勉強は、単なる「蓄財」の勉強ではありません。 「自分の人生の主導権を得る勉強」なのです。
以下の3つについて行動してみましょう。
- お子さんに「働いて給料をもらう以外に、お金を手に入れる方法って何があると思う?」とクイズを出してみる。
- コンビニや映画館に行った際、「ここでは誰が働き、誰が仕組みを作り、誰が投資しているか」を親子で予想してみる。
- 親であるあなた自身が、資産運用(I)や副業(S/B)に興味を持ち、その姿を子供に見せる。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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