「株式投資」と聞くと、株価の上がり下がりに一喜一憂するギャンブルみたいなものを想像する方も多いかもしれません。しかし、投資の世界にはもっと落ち着いた堅実なやり方があります。その一つが「高配当株投資」です。
株価の値上がりだけを追い求めるのではなく、企業から支払われる配当金を重視するこの投資法は、特に長期的に資産形成を考える個人投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
今回の記事では、高配当株投資の基本を中心に、私の高配当株ポートフォリオも紹介していきます。
1. 高配当株とは何か?
まず「高配当株」とは、明確な定義があるわけではないと思うのですが、私の感覚では配当利回りが3.5%以上の銘柄のことかなと思っています。
配当とは、企業が利益の一部を株主に配当という形で還元する仕組みのことです。高配当株に投資することで、保有しているだけで安定的に現金収入を得られるということが最大の魅力ですね。
配当利回りは、
配当利回り = 1株あたりの年間配当金 ÷ 株価 × 100
で算出されます。たとえば、1株1000円の株が年間40円の配当を出していれば、利回りは4%です。
2. 高配当株投資の主な魅力
個配当株投資には様々な魅力があると思いますが、いくつか紹介していきます。
安定したインカムゲイン(配当収入)
最大の魅力は、なんといっても継続的な現金収入です。株を保有しているだけで、年に1回あるいは2回、企業から配当金が振り込まれます。定期的な副収入として、年金の補完、生活資金の一部、自分自身の趣味や娯楽に使用することも可能です。
再投資による複利効果
配当金を使わずに再び高配当株の購入に回すことで、資産は複利的に増加していきます。長期間にわたってこの再投資を続けることで、老後に向けた資産形成にも非常に効果的です。
※配当金から税金が差し引かれるため、全額を再投資に回すことができません。これにより、複利効果が多少減衰する可能性があります。
株価の下落局面でも心が折れにくい
株式市場は常に上昇しているわけではありません。しかし、高配当株は株価が多少下がっても配当が続く限り収入は得られるため、精神的に安定して投資を続けやすくなります。「配当があるから持ち続けよう」と思える点は、精神衛生上かなりプラスです。
長期的に堅調な企業が多い
高配当を継続できる企業は、一定以上の利益を安定的に出している企業です。特に「累進配当」や「連続増配」をしている企業は、財務が健全で事業の収益性も高く、長期投資の対象として安心感があります。
3. 高配当株の選び方
魅力的とはいえ、すべての高配当株が良いとは限りません。以下のポイントに注意して銘柄を選ぶことが重要です。
配当利回りが極端に高すぎないか
配当利回りが6%や7%を超えると一見魅力的に見えますが、それは株価が大きく下落していたり、記念配当などで一時的に配当金が多くなっていたりする可能性があるということでもあります。配当利回りだけを見て銘柄を選んではいけないということです。
配当性向や業績の確認
配当性向(利益に対して配当金が占める割合)が高すぎると、今後の減配リスクがあります。配当性向は30~50%が適正範囲とされ、余力を残しながらも株主還元に積極的な企業が理想です。また、売上や営業利益が継続的に増加している企業を選びましょう。
配当性向が80%を超えるような銘柄は無理をして配当を出していることになりますので、将来的に減配のリスクがあり安定的に配当を出していけるか疑問です。
(3) 業種の分散
高配当株に投資する場合でも、複数の業種に分散させることがリスク管理の基本です。高配当を追い求めるあまり、同じような業種に投資してしまうと、景気悪化時などに減配や無配のリスクにさらされてしまいます。
少し位配当利回りが低くても、電力・通信・金融・インフラ・食品など、景気に左右されにくいディフェンシブな銘柄を組み合わせて、ポートフォリオ全体で高い配当利回り求めていけばよいのではないでしょうか。
4.注意点とリスク
高配当株にも当然ながらリスクは存在します。
- 減配・無配リスク:企業業績の悪化により、配当が減らされたりゼロになることがあります。
- 株価の下落:いくら配当が魅力でも、株価の下落幅が大きければ、トータルの収益はマイナスになりかねません。
- 集中投資によるリスク:ひとつの銘柄や業種に偏ると、ポートフォリオ全体で見ても大きな影響を受ける可能性があります。
- 購入タイミング:できるかぎり割安なタイミングで買うことが高配当を長期的に得ていくために大切です。また、同じ配当でも購入価格によって利回りが変わってきますので、できるだけ割安なときに買うことが、長期的なリターンの鍵を握ります。
- 資産の最大化は望めない:高配当銘柄は一般的に成熟した銘柄が多いので、将来的に大きく成長していくような銘柄はあまりない。
5.私の高配当ポートフォリオ
それでは私自身の高配当株ポートフォリオはどうなっているのかを紹介したいと思います。
このブログ内でも何度か紹介したことがあるのですが、私の高配当株ポートフォリオは東証のETFである「日経高配当50ETF(1489)」の採用銘柄、約50銘柄に自分自身が選定した約40銘柄を足して約90銘柄を保有しています。
イメージ的には「日経高配当50ETF(1489)」で高配当利回りを求めて、自分自身が選定した銘柄では安定した配当を求めています。
下表は私の高配当株ポートフォリオの業種別の受取配当額の割合です。

一般的に景気敏感と言われる業種とディフェンシブと言われる業種に分けてみると以下のようになります。
ディフェンシブ業種の合計割合
- 食料品: 9%
- 医薬品: 5%
- 電気・ガス業: 3%
- 保険業: 8%
- その他金融業: 8%
- 情報・通信: 7%
- パルプ・紙: 4%
ディフェンシブ業種の合計: 44%
景気敏感業種の合計割合
- 化学: 9%
- 銀行業: 7%
- サービス業: 6%
- 卸売業: 5%
- 倉庫・運輸関連業: 4%
- 建設業: 3%
- 石油・石炭製品: 3%
- 陸運業: 3%
- その他製品: 3%
- ガラス・土石製品: 2%
- 輸送用機器: 2%
- 機械: 2%
- 鉱業: 2%
- 電気機器: 2%
- 証券業: 1%
- 繊維製品: 1%
- ゴム製品: 1%
- 非鉄金属: 1%
- 不動産業: 1%
景気敏感業種の合計: 58%
※四捨五入しているので合計は100%にはなりません。
ディフェンシブ業種は全体の約44%、景気敏感業種は約58%でした。どうでしょうか?自分的には結構分散が出来ているのではないかと思っています。ちなみにポートフォリオ全体の購入価格に対する配当利回り(YOC)は5.45%でした。購入してから増配した銘柄もかなりありますのでここまで高くなってきたのだと思います。
最後に
高配当株投資は、必ずしも資産を効率的に最大化させる投資ではない(配当受取時の課税や成長銘柄の投資機会損失)のですが、定期的に配当金という形でキャッシュフローを生んでくれます。この配当金は再投資しても良いですし、生活費に充てても良いわけですが、私の場合は趣味の釣りやキャンプを楽しむために使っています。このことが生活の満足度を上げているのは間違いありません。
また、平常時にはなかなかわからないのですが、株価の大幅下落時は本当にメンタルにきます。そんな時、配当金の存在は大きな心の支えにもなります。
高配当株投資に向いている人は、
- 安定した配当収入を重視する人(投資している実感を得たい)
- 長期的な視点で投資に取り組める人(短期的な売買を望まない)
- 私のようにリスク許容度が比較的低い人(株価大幅下落時の心の支え)
ということになるでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ここで紹介している投資の手法や銘柄などは私自身が実際に行っているものであり読者の皆様に推奨しているわけではありません。投資については自己責任でお願いします。紹介している数値なども細心の注意を払っていますが誤っている可能性がありますのでご自身でも確認することをお勧めします。
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